当館は、染色家・芹沢銈介の作品と収集品を展示・収蔵する美術館です




 　昭和20（1945）年4月5日、芹沢の蒲田の自宅と工房は空襲のために焼かれ、家財やそれまでの作品の型紙、収集品の大半が焼失してしまいました。自宅を失った芹沢一家は寄寓生活となり、やがて8月15日の終戦の日を迎えます。10月には、戦災を免れた日本民藝館に転居して年を越しました。日本民藝館では、狭い場所でも出来る染紙のカレンダーの制作をはじめ、柳宗悦はじめ知友たちの好評を博します。以後この仕事は昭和59（1984）年分まで毎年途切れることなく続けられました。
　　昭和21（1946）年1月、大森山王（現・大田区山王）にあった中田家別邸内の離れに移りました。同年には、芹沢を中心にした染色家の団体「萠木会」が発足、グリーティング・カード、団扇、マット、マッチのラベル（燐票）など、様々な製品が萠木会によって制作され、芹沢と弟子たちの復興の足がかりになりました。		  

昭和22(1947)年、東京・青山南町の自宅にて
　昭和22（1947）年正月には、赤坂青山南町（現・南青山2丁目）の村田氏邸内に転居、昭和26（1951）年10月に再び蒲田の地に戻るまで、5年近くをここで過ごしました。この時期の作品には「竹波文着物」（1949）、「横段丸並び文帯地」（1949）などがあり、型染絵本としては、『沖縄風物』（1948）、『紙を造る人たち』（1950）があります。
 　昭和26（1951）年、かつて住んでいた東京・蒲田の土地を購入し、また住居と仕事場に当てるために、北陸銀行長野支店の宿直室と物置（帳簿のための小屋）を譲り受けて移築しました。家の建築が終わった昭和26（1951）年10月、芹沢一家は青山南町から東京都大田区女塚二丁目（現・大田区西蒲田四丁目）へ転居、6年半に及ぶ奇遇生活にようやくピリオドが打たれました。十分な仕事場を確保した芹沢は、急速にその仕事を発展させていくことになります。 

バナースペース

静岡市立芹沢銈介美術館

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